FX手法に欠かせないもの
FX手法の再現性とは?
先日、読者の方から珍しいご質問をいただきました。
規則的FX理論についてのご質問の傍ら、とあるFXスクールのWEBサイトを提示され、
「このFXスクールで指導されている手法についてどう思いますか?」(なぜ私にそのような事を聞くのかはわかりませんが笑)
コーヒーを飲みながらゆっくりしていた時間ではあったので指定のサイトを覗いてみました。
それは約2週間のカリキュラムで専業トレーダーになれるというオンラインFX指導のサイトで、教えている内容については当然分かりませんので、肯定否定のいずれの立場も取る事もできませんが、その中で一つ気になった文言がこちらです。
「100回同じポイントに遭遇しても100回同じエントリーができるようになります」
と宣言しておられました。
が、しかしその次の文で・・・
「このように非常に再現性が高い手法を身に着ける事が出来ます」・・・と。
この2つの文章、大きな矛盾を感じませんか?

FX手法の再現性は100%でなければならない
私からすると再現性とは高い低いで表現するものではないと考えています。
再現性とは有るか無いか、どちらかでしかないのです。
再現性が「高い」という事は、再現に失敗する事もあるという事ですから100%では無い。
例えばこのスクールの手法の再現性が「高い」として、「高い」の水準が90%であったとしても、残り10%は再現できない、という事ですよね。
つまり100回中90回は同じエントリーができるが10回は同じエントリーができない。
よってこの2文は、
100回中100回同じトレードができます!
しかし100回中100回は再現できないです
え、どういう事?笑・・・と支離滅裂な状態になってしまっている訳です。
そもそも為替相場において同一の場面に100回も出会える確率が果たしてあるのかどうかも疑問ですが、それはモノの例えとして置いておくとしても、同一ポイントならば同一のトレード判断になる、そんな事は当然の事であり、むしろそうでなければならない、規則的FX理論においては当たり前過ぎて語るまでもない事です。実際、これは裁量無裁量以前の問題で、もし仮に全く同一の相場状況に遭遇できるのであれば、同一の対応ができなければ安定して資金を増やしていく事など不可能でしょう。
極端に述べるなら、同一の場面において今回はトレードして次回はトレードしないとなると、その行動の根拠を明確に説明できないのであれば、コイントスやくじ引き、サイコロ、鉛筆転がしでトレードしているのと大差はありません。
よって、
100回の同じ為替相場で100回同じトレード判断ができるという事はトレーダーとして「自然」な行動であるべき
であり、わざわざ声を挙げるほどの事ではない。
もしそんな当然の要素をそのスクールにおけるFX手法の売りにしているのなら・・・失礼ながら底は知れているな、と感じるのです。
一つ一つの問題から定義と根拠を積み重ね構築してきた私が実践しているトレードは結果的に「 裁量 」に頼らず「 規則 」に頼る事で、100回でも1000回でも10000回同じ場面に遭遇しても、当然遭遇した回数と全く同じ回数、同じ判断を間違いなくする事ができます。
では具体的にどのような事に重要性を感じながら、現在のトレ―ドスタイルを構築する事ができたのか。
何に疑問を感じて、どのような過程を経て解決してきたのか、を言葉にしてみようと思います。
相場の普遍性=FX手法の普遍性
普遍性:すべての物事に通じる性質。また、すべての物事に適合する性質。
weblio辞書:https://www.weblio.jp/content/%E6%99%AE%E9%81%8D%E6%80%A7
私はこれまでチャートに対峙する中で、自身で様々な理論手法を試してきたのはもちろん、他のトレーダーとの交流においてその意識や思考にも触れてきました。
ダウ理論、エリオット波動、サイクル理論、ランダムウォーク理論といった各種理論、フィボナッチ係数やグランビルの法則、通貨相関にチャートパターン、プライスアクション、ボリンジャーバンドや移動平均線および各種オシレーター系インジケーターに資金管理法、これら複数の組み合わせにスイング、デイ、スキャルピングといったトレード時間軸の概念を加えるなら、FXに対する理論手法とはまさに無数。
有名無名数え切れないほどの理論手法とトレードスタイルに溢れています。
しかしです。
理論手法やトレードスタイルというのは無数にあれど、そこには共通の普遍的要素が存在する事に気付いている方もいると思います。
そう、結局のところ狙っているところは似ているのではないか?という疑問です。
手法は違っても勝てる場所は普遍的であり共通している。いやいや逆張りと順張りはいくら何でも違うだろう・・・いいえ、実はそれも共通項です。
その逆張りは時間軸を変えれば順張りであり、その逆も然りなのです。
ですが、闇雲にどの理論手法でも熟練すれば稼げるのか、と言えば当然そうではありません。
チャートで狙える(プラットフォームへの手数料を差し引いても継続的にプレイヤーの利益を享受していける)理論手法というのは限られており、その場面を獲りに行くなら絶対に「 認識 」しなければならない事がある。
認識すべき事を認識できていない理論手法では決して安定して勝つ事はできません。
それではその「 認識すべき事 」とは何か?

稼ぐ普遍性を備えたFX手法に必要な事とは
今チャートのどこを見ているのか
みなさんは今ご自身のモニターに映っているチャートの現在の位置と状態を正確に答える事ができますか?
チャートのどこを指差したとしても一貫した基準の元、現在地はどの位置にあり、どこを目的地として、どのような状態にあるのか。
それを現わす事ができるのはインジケーターではありません。
誰のチャートにも最初から存在しているもの・・・ローソク足でもなくローソク足を構成している点です。
ローソク足の四本値(始値・終値・高値・安値)がチャートの全ての元であり、これを礎としてチャートに導線を描く事が出来ます。
チャート上の導線は迷いようのない導線描写規則によって描かれ、そして描かれた導線を構造規則に従って分類する事により、現在自分がチャートのどこを見て何を狙っているのか、が明確になります。
上がるかな?下がるかな?
上がったらこうしよう、下がったらこうしよう
ではなく、いついかなるチャート分析でも現在地と目的地が明確であり、エントリーするか/待つかの二択にまで絞る事ができているでしょうか?
FXで勝てる手法で必ず言及されている共通点
FXで勝つために、そして前述の普遍的に稼げるトレードを行うためにはチャートの「現在地」の把握が必要不可欠です。
このチャートの現在地というのは、もちろん単なる現在価格の事ではありません。
例えばあなたがグランビルの法則2番を基本としたテクニカル分析を行っているとしても、グランビルの法則における現在地がどこなのか認識できず、今がグランビル1番なのか3番なのか認識する術を持っていないのであれば、グランビル2番がいつどこで発生するのか予測する事すらできないはずです。
現在地が分かれば、自分が今何を待っているのかが分かります。
さらに現在地が分かれば、目的地も分かるのです。
これだけ大切な「現在地」を把握できていない方が非常に多いと感じます。
FX情報の発信者ですら自身の手法の現在地と目的地に言及する事なく、ここから上がったらこうする、もし上がらず下がったらこうする、などと意味の無い事を述べている方ばかりです。
自身の理論手法で見たチャートで、現在地はどこにあり、そしてどこを目指すのか。
その解答は常に一方通行であるべきだと大神は考えています。
相場の現在地を明確にするために
不規則なチャートを規則化するには
「チャートの導線をどう描くのか」
相場の現在地を明確にするには、不規則なチャートを規則化する必要があり、一つの時間軸の中には四本値=始値・終値・高値・安値という4つの点があります。最重要点は終値ではあるのですがこれは長くなるのでまた別の記事で解説するとして、ではその4点、どこから始まり、どこを通って、どこで終わるのか。
必ず通った道筋があるはずです。
道筋があるならばそれが形成された順序も見る事ができます。
この順序によって4点の連続で構成されているだけの一見ランダムなチャートを導線化します。
※チャート導線には規則導線と心理導線が存在しており、現在地を導くための構造規則のパーツを定義するのは規則導線とすべき

「チャートの構造規則をどう見るのか」
次にチャートのどこを指しても現在地に言及できる規則を定義する必要がある。
私は8つの構造規則を定義しています。
仮にそれをA・B・C・D・E・F・G・Hと名付けたならば、チャートのどの地点を指定しても、必ずABCDEFGHのいずれかに当てはまります。
この規則に例外は無く、こちらのポイントはBに当てはまるがあちらのポイントは不明やわからない、といった曖昧さは一切存在しません。
チャートのどの場所であろうとも必ず8パターンの構造に分類できます。
この2つが「チャートの現在地」に必要な要素となります。
こうして現在地が把握できると・・・どこを獲るか、も同時に把握できます。
そしてどこを獲るかが把握できるなら、何を待つか、が把握できるのです。
こうなれば利益を得るに至るまでのプラン策定は容易いものです。
乱暴に述べるなら、他の要素は「何でもいい」。
このような性質があるから勝てる手法には前述の理論手法の狙いどころの普遍性という現象が生じるのでしょう。
よってこれをスタート地点とする事により、マルチタイムフレーム分析やダウ理論やライン分析その他のインジケーターそれぞれの強みを生かし、明確になった場面と役割、それを得意とするテクニカル分析をそこに合わせる事だけで優位性という言葉の次元が違うトレードを実現する事が出来ます。
チャートに秩序をもたらす手法
上記が私のトレード理論構築の経緯や思考となりますが、連なった点でしかないチャートを線にする。その導線の繋がりを規則的に分類する。
要は規則によりテクニカル分析を体系化する事を選びました。
そうすると、チャートという盤面に現在地と目的地が見える。
現在地と目的地というのはどのような物事でも当たり前に存在しています。
旅行ならば自宅が現在地で旅先が目的地、料理なら食材が現在地で完成予定の料理が目的地、将来の夢なら今が現在地で成りたい自分が目的地。
FXも例外ではありません。
以下 ▶本サイトの目的 でも述べましたが、現在地と目的地を正しい順序で導き出す根拠を一つずつ精査実証し確定したものを「規則化」する。
このような経緯を経て構築された規則的FX理論の一つが推進D波動トレードです。
裁量によるFX手法はFXに対する一つの武器であり、現に裁量で十分な利益を得る天才トレーダーも存在します。
しかし全てを規則で縛ってトレードが出来るのであれば、資金が増加していくのであれば、そこにわざわざ不確実要素となる裁量を入れる必要があるでしょうか?私は残念ながら裁量によるトレードは会得出来ませんでしたが、裁量を諦めたのではなく、裁量によるトレードが必要無くなったのだと考えています。
規則を持ち込むことによりチャートに何が生まれるか。
そこに生まれるのは秩序です。
今、自分の目で見ているよく分からないチャートが理路整然と並ぶ事、それがチャートの秩序であり、現在地と目的地を見据えた迷いようがないトレードこそが大神が考える手法の意味となります。
本サイトにお越しいただいた方のどれくらいの方がこの記事を読まれているのかは分かりませんが、どのような意識で理論手法を構築し運用しているのか、これを語らずして理論手法を論じる事もできないと思い記事として掲載しておきます。
お疲れ様でした。コーヒーをどうぞ。
