波とダウとマルチタイムフレーム

この記事は「マルチタイムフレームで分析しなければならない理由」の後編にあたる記事となります。
前編を読まれていない方は下記のリンクよりどうぞ。

FXのマルチタイムフレーム分析とダウ理論の関係

まず波とダウ理論、そしてマルチタイムフレーム分析について語る前に前提を整理しておきます。
少なくとも「無裁量によるFXトレードを行う上での再現性」という観点から、私が一切採用しない考え方を明記しておきます。
以下の可能性を探るのは、ご自身での探求はもちろん、それを論ずる他者の考察に耳を傾けるのも時間の無駄でしかありません。

  • 傾きと角度
  • 基準を有しないライン
  • 移動平均線の抜け
  • MACDを始めとするオシレーター類による判断
  • ローソク足の本数(一部を除き)

①傾きと角度

画面比率やモニター解像度、あるいはチャートの縮尺によって見え方が容易に変わってしまう「角度」や「傾き」の類は論外です。
視覚に頼る不確定要素を頼りに、一定の判断を維持し続けることは不可能です。

②基準を有しないライン

水平線やトレンドラインもしかり。
一定の要件を満たさない限り、こちら側からの主観でチャートに付け加える(押し付ける)ものというのは役に立ちません。

大神はラインについてはこう問うべきであると考えています。

そのラインは、過去10年分のチャートに引いた時、何度やっても寸分違わず同じ価格に引けますか?
そのラインは、表示するタイミングと消去するタイミングが明確ですか?

ラインについては最低でもこの2点をクリアする必要があります。
詳細は長くなるため別記事に譲りますが、大神のハーモニックD手法内で表示するラインは当然、上記2点について明確な基準を備えています。

③移動平均線等のトレンド系インジケーターを基準とした判断

次に移動平均線を代表とするトレンド系のインジケーター。(BBやエンベロープ等も同様)
移動平均線はあくまでも一定期間の価格の平均値を曲線で可視化したものに過ぎません。
これを抜けた割ったでチャートの波を定義するのは・・・これは苦しい。客観的に考えてもかなり苦しいと思いませんか?
少なくとも「なぜ?」に対する回答を見出せないような方法を取るべきではないと私は思います。
少し検証するだけですぐに実感できる事ですので割愛します。

④オシレーター類

ということはMACDやRSI、ストキャスティクス等のオシレーターも言わずもがなですね。
これらはもっと別の、局所的に使うことで最大の力を発揮するものなのですが、それはまた別の機会に記事にします。
(極論、オシレーターが得意(と言われている)とするダイバージェンスさえもローソク足チャートだけで見る事が出来ます)

⑤ローソク足の本数

サイクル理論等のローソク足の本数のカウントも、こちら側(トレーダー側)のご都合主義の本数は機能しない。
予言やオカルト・まじない・占いと何が違うのでしょうか。

人間には60秒60分24時間1週間1ヵ月1ヵ年という活動単位があるため、それらがある程度のサイクルのようなものを生み出す可能性はあります。
しかしそれらに正確な「精度」まで求めるのは難しい、というのは何となくでも感じられると思います。
(時間という概念そのものはズレないが、それをサイクルと見るには扱う側のブレ幅が大きいため)

ローソク足の本数やそれに伴うサイクルを何かの基準とするのであれば、チャートが出した結果をもって、後から判断基準として観察すべきものです。
本数のカウントによって「波やダウ理論を予測したり、定義付ける事はできない」と考える方が自然でしょう。

さてさて、他にも除外すべき事項はいくらでも挙げる事ができそうですが、少なくともここまで並べれば、随分絞り込めるはずです。
言い過ぎだよ、と既存の受講者さんから不平が漏れるかもしれませんが、私のブログを読んでいただいている以上、余計な思考は除外しておいていただきたいので。
答えは既に目に見えているもの、チャートに最初からあるものの中にしか眠っていないのです。

波の起点と終点からチャート構造を分析するFX環境認識

無裁量の環境認識における2つのガイドライン

さて、これらの事項を除外した上で、どのようにすれば相場を動的に捉える事ができるのか。
私の場合ですと二つのガイドラインを設けています。

一つ目は導線
もう一つは構造規則

私の講義はこの2つが本質であり、実のところ「ハーモニックD手法」という手段は、この本質を形にした一つのやり方に過ぎません。
2つに共通するのは「 時間の正確性 」です。

「理屈」と「やり方」

前述で除外すべきものにローソク足の本数カウントをあげましたが、これは時間の正確性とは似て非なるものです。
ローソク足をただ数えるのではなく、時間の正確性が傾きを生む根拠とリンクしていなければならない。

実は講義を始めた初期の頃は、その導線が有するローソク足形成に対する時間と内部構成の何たるか、うんたらかんたら・・・という突っ込んだ教え方はしていませんでした。
というのも、私たちは理屈はわからずとも教習所に通えば車を動かすことは出来るようになれますよね。
それと同じで理屈はわからずとも、私から習って方法さえ覚えれば正確な導線を描くことはできるわけです。

しかし、幾度かの講義を経て受講者さんを観察する内に、理屈を知らずに描くより、理屈を知った上で描く方が、はるかに飲み込みが早く正確に導線を描けるようになる方が多い事がわかりました。
特にハーモニックD手法のような無裁量手法は、言うなれば非常に手法依存性が強い性質であるため、「どうしてそうするのか」という理論的背景まで知っておくことは、我流への変化を抑制する上で非常に重要な防壁となるので、現在は「やり方」以上に時間を割いて詳細に教えているものです。

多くの人が混乱するマルチタイムフレームの解消

少し話がそれましたが、上記の様な問題点を除外または解決した上で運用しているのが、ハーモニックD手法です。

これをもう一度、シンプルな概念図で見てみましょう。

導線と構造規則によって波を認識するダウ理論ベースのFXチャート概念図

・・・どうでしょう?赤で示したラインが現在地から目的地です。
これだけあれやこれやと話してきてこれ?
と拍子抜けされる読者の方もいるかと思います。
エリオット波動論でいう3波狙いと何ら変わりありません。

しかしこれを「なんだ、簡単だな」と感じられるのはシングルタイムフレームまで。
これがマルチタイムフレームになった途端、多くの人が波と波を繋げる事ができなくなり「わからない」「難しい」となってしまうわけです。

住宅でいう基礎部分=チャートの構造規則

そこで必要となるのが構造規則です。

構造規則とはチャートの構造であり骨幹、住宅でいう基礎のようなものです。
基礎の上に導線で建物を建築していく。
この基礎が正確に把握できているなら、どれだけ階(時間軸)が重なってマルチタイムになろうとも、狙うものは同じなのです。

上位足と下位足。それぞれの現在地

正確な波の定義で環境認識を行い、ダウ理論をマルチタイムフレームで分析するとどんなトレードになるのか。
わかりやすく前編の概念図で、その具体的イメージを共有します。

マルチタイムフレーム分析で現在地と目的地を認識するFX環境認識の概念図

で示したライン。これが現行足の現在地から目的地。
ラインはその一つ上の階層、マルチタイムフレームの上位足の現在地から目的地です。

実はこれ、ほとんど答えになってしまっているのですが、どうでしょう?何となくでも取る場所はイメージがつくはずです。
この図は言わば2階建てのイメージですが、あとはこれが3階建てになろうが4階建てになろうが同じことですよね。

波・ダウ理論・マルチタイムによる無裁量トレードに必要なもの


・ローソク足から成る終値と波から成る高安値
・各階層のチャート構造の分別
・上記2点を伴う推進波の起点形成を待つ事(現在地の把握)

この3つの内、どれか一つでも欠けているのであれば、無裁量トレードによる永続的な資金増加は不可能です。
なぜならトレードの根底にある再現性に揺らぎが生じるから。

しかし裏を返せばこの3つが揃っているなら、ハーモニックD手法でなくとも、今あなたが現行で使用中の理論手法に付け加えるだけでも容易に資金を増加させていくことが可能となります。
少なくとも超局所的で高精度な環境認識ができるようにはなるでしょう。

となるとですね・・・例えば4階層の環境認識でのトレード理論においては、1階層目でのエントリー時には、非常に小さなリスクでその何倍もの利益を取りに行くことができるわけです。

しかも毎トレードごとに。ブレない同じ判断で。

お読みいただきありがとうございました。コーヒーをどうぞ。

FX環境認識と無裁量トレード研究/大神一