FXインジケーターが担う役割とは
わたしも以前・・・と言ってももう10年、いや15年以上前ですが、かなり多くのインジケーターを活用していました。
今もチャートに「インジケーター」は表示させていますが、それは計算式によって表示される類のものではなく、UIを高めるものだけとなっています。
例えば移動平均線、ボリンジャーバンドといったトレンド系のインジ。
RSIやMACDといったオシレーター系のインジ。
これらチャート価格を基にして線状あるいは図形状に表示される指標は使用していません。
もちろん私が提唱する可変式ハーモニックD手法においても、ハーモニックだからと言ってフィボナッチの値を認識してハーモニックパターンを自動表示させるインジ・・・などというものも使用していません。
これは別にインジケーター否定派というわけではなく、「インジケーターで何を見たいのか」という明確な目的をもって利用するなら有益である、とは思っています。
大切なのは「目的」と「客観性」です。
インジケーターは決して分析の主役にはならない。
ただの道具として利用できるかどうか、その線引きをしているだけなのです。
現在の大神のトレードは「 ローソク足 」+補助的な計算式だけのトレードです。
つまりはインジケーターが表示する指針を必要としていないから表示していないというだけです。
かと言ってローソク足そのものに何か重大な意味や価値があるわけではないので、勘違いなさらないようお願いします。

ローソク足もチャートの描写物としてただ利用しているだけです。
大切なのは始値・終値・高値・安値。
客観的に確定しており、誰でも確認可能なこの4つの数値だけなのです。
・・・冒頭から盛大に話が逸れてしまいましたが、今回はコラム的にインジケーターがFXトレーダーを陥れる「騙し」について書いてみようと思います。

FX初心者が必ずはまるインジケーターの「騙し」という現象
さて、皆さんのチャートには何が表示されているでしょうか?
MAやRSIといった有名インジ、もしくはあまり出回っていない特別なインジなんかもあるかもしれませんね。
しかしどんなインジケーターにも必ずあるのが「騙し」です。騙しの無いインジケーターは存在しません。
もし騙しの無いインジケーターがあるのなら、それこそがFXにおける聖杯です。
当然そんなものはこの世に存在していないのですが、それでもなお「勝てそう」に見えるインジケーターの騙しに惑わされ、「もっと良いインジケーター」を探し続けてしまう人は後を絶ちません。
私もそうでしたが、特にFXを始めた初期、FX初心者の段階で多くの方が必ずと言っていいほど通る道です。
FXインジケーターの騙しの法則とその原因
実際のチャート事例をもとにインジケーターの騙しを見てみましょう。
こういう記事はこれまでの大神WEBでも何度か掲載しているのですが、今回はストキャスティクスでやってみようと思います。
検証条件
- 通貨ペア :GBPUSD1時間足
- 検証場面 :ランダムに抽出した トレンド局面 及び レンジ局面
- 使用インジ:ストキャスティクス(設定値/デフォルト)
- 基準ライン:上80/下20
- 条件 :売り/80越え後、次に80下抜け確定|買い/20割れ後、次に20上抜け確定
- ストップ :直近高安
- 利確 :リスクリワード1:1
ストキャスティクスの解説ページには必ず掲載されているような最も一般的な使い方です。
私からするとこんな使い方は「まあ、うん・・・」と言ったなんとも複雑な気持ちになりますが、方法としては一般的なようですのでこれで見てみましょう。
まずは多くのインジケーターが有効に機能するトレンド相場ですね。

インジケーター全般に言えるのですが、やはりトレンドでは強い。
顕著な下降トレンド局面では以下の成績となりました。
買い(逆張り):7勝5敗 勝率58%
売り(順張り):6勝2敗 勝率75%
合計:13勝7敗 勝率65%
何らかのフィルターを噛ませて下降トレンドの環境認識を行い、売りエントリー中心にトレードすれば「なんか勝てそうだな」と思ってしまうのもわかります。
じゃあ次の場面。レンジ相場です。

・・・まあそうなりますよね、ボコボコです笑
やってもやっても騙しの連続。
買い:2勝7敗 勝率22%
売り:5勝6敗 勝率45%
全体:7勝13敗 勝率35%
トレンド時(勝てていた時)と同じ一貫したトレードをしているのに突然負けが連続する。
なまじ勝てた印象が頭に残るからこそタチが悪い。
これは何もトレンドかレンジかを判断してトレードしよう、などと言っているわけではないんです。
トレンドかレンジかなんて、普通にチャートを見ているだけなら終わってからしか分からないんですからね。普通なら、ですよ。
FXを勉強し始めた初心者の頃は、少なからずこういった壁にぶち当たるはずです。
インジケーターの騙しを回避するには
じゃあ一般的じゃない方法で見るとどうなるか。
インジケーターに寄らない環境認識を一貫した無裁量の視点から見るというのも重要なのですが、まずはローソク足を観察しましょう。
ローソク足そのままを眺めるんじゃなく・・
始値
終値
高値
安値
この4つの数値だけを見ていく。それを見て次にローソク足の繋がり方です。
するとそれだけでも比較的簡単に騙しを排除できる要素が見えてくるのですが・・・ここで最後までは解説しませんので、後はご自身で考えてみてください。
どうしてここでサクッと答えを書いてしまわないのか。
私のこういった公開記事は最後までは書かない事がままあります。(特にこういうコラム的なもの)
今回の記事はほとんど答えを書いているようなものですが、最後まで書ききってしまわないのは次の3つの理由からです。

インジケーターによる有益な情報を自分のものにする意味
講義内容
一つは有料講義内で教えている、という点。
講義を受けられた方に申し訳が立たないからです。
講義ではインジケーターを使用するような手法は教えていませんが、このような形式で公開している記事の理由や騙しの解き方が判明します。
受講者さんから受講後に「これ答え書いてますよね笑」なんてご指摘をいただく事もありますが、基本的にはすべての記事に意味があり、可変式ハーモニックD手法の礎になっていると考えていただいていいと思います。
気付き
次に・・・気付きを得てほしい、そしてそれが次へと繋がる気付きである事にまで気付いてほしいという事です。
大神のブログもしかりですが、FX手法やFXインジケーターを解説しているFXブログや手法解説、youtubeなどの動画もそれこそ星の数です。
それが本当に相場に通用するものなのかどうか、つまることろはそこですよね。
例えばyoutubeのトレーダー(らしき人)が発信している手法や知識をそのまま鵜呑みにして運用する人は思っているよりずっと多い。
他人が言った事を自分のものにするには、自分の時間を使って、
観察 検証 実証
こうするしかありません。
そして初めて自分のモノになり、手に入れたものは簡単には失わないし消えません。
よく考えると何だってそうだと思います。
例えば自動車の運転もそう、ピアノの演奏も料理の腕もDIYも・・・FXトレードも一般的な事と何ら変わらない。
しかるべき手数を踏んで手にした技術は磨けば磨くほどに骨太になっていき、しかもFXはこの世にマーケットが存在する限り永遠の金策となります。
よく新しい受講者さんを受け入れる度に思う事が多いのですが、FXを難しく考え過ぎている人が本当に多い。
そんなに難しい話じゃないですよ、FXで儲けるって。
上昇か下降か、最初から50%は勝機があって、あとは最初の一歩。
資金増加側に傾く最初の一歩さえ築いてしまえば、未来に進めば進むほど資金の傾きは増幅していくという事をイメージしてみてください。
・・・こんな話をしだすと際限なく長くなるので、この話はまた別の機会に。
最後、3つ目の理由はごくごく個人的な感情で、私自身がこんな単純な事に気付くのに相当な時間を要してしまったため、これを読まれている方にもそれなりには苦労して欲しいという悪い気持ちもあります笑
インジケーターの正しい検証方法
最後に。
これはインジケーターに限った話ではありませんが、
「何かを観察する時、検証する時は必ず対比を利用する」
インジケーターを検証するなら、有効な時と有効でない時。
勝てるシーンだけを分析しても意味が無いし、負けるシーンだけでも意味は無い。
その対比で分析する事が最も大切です。
そしてできればインジケーター以外にも目を向けてください。
その反応があった時のローソク足・・・のどの部分を見るべきか、これはもうお分かりですよね。
インジケーターとともに観察、検証、そして実証。
見るべきポイント、そして環境認識の中で向かうべき方向も絞れてくるはずです。
駄文お付き合いいただきありがとうございました。
コーヒーをどうぞ。


